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フラットな水面に波打つ水紋
いた!
エサを食っているやつがいるではないか。
さて、釣ってやろうじゃないか。
そっと近寄っていって見ると淵のテールで一匹、やはり落ちてくるエサを探していた。
まず一投目。魚までの距離はまだかなりある。
私が放つライン。ワイドループキャスティング、二個のフライを魚の停居している少し上流でターンオーバーさせふわりと落とす。
・・・魚はフライに近づいた。
「くるか?」
来ない。魚はいったん水面に持ち上げた頭を下げ、少し下流にきた。
もちろん私は、一回目嫌われた私のフライを引き上げていた。
しかし、この一瞬一連の状況で私は直感した。
「ヤツは釣れる。」
この状況、私はこう思った。
ヤツはおびえていない。
むしろ、岩ひとつ下流に下がって上流を向いたヤツの態度は、私のフライを異物と思っていないどころか餌取に意欲的に思える。
ヤツはきっとエサをとり損ねたとおもったんじゃないか?
フラットな水面で太いティペットでは不利か。
一瞬そう思った。が、しかし私は考えた。
どうせ私は5X以下のティペットを持っていない。
ここで5Xに変えたところで4Xと対して変わらないんじゃないか。
ちょっと細かろうが、ティペットが水面を乱すことにたいした優劣はない状況だ。
フライもこのクイーンオブウォーターより小さいものは無いしもう一度これでいこう。
ヤツはフライが落ちた瞬間、食い物ではないかと思ってフライを追って来たが、それが動かなかったか何かで、食べ物ではないと思ったから食わずにそっぽを向いた。
しょうがない、私のフライは疑似餌なので生きているはずが無い、動かずに流れる。
しかし私が故意にアクションを加え動かす事は出来るが、この状況下では魚の警戒心を覚まさせてしまいそうだ。
フライをプレゼンテーションした瞬間が勝負なんじゃないかと思った。
フォルスキャストし魚の少し上流に二個のフライをふわりと落とす。
魚が頭を水面に向ける。しかし、頭をまた下げてしまった。
判った。
魚のやや上流から流してきたのでは、魚が品定めしている時間が十分あるのだ。
そんなに、品定めされてはいいかげん虫風のわたしのフライは完全に食えないものだとばれてしまう。
それよりは、魚の真上にポチャリと落とし、条件反射的にガブリとやらせる勝負に出よう。
水面すれすれで二度のフォルスキャスト、プレゼンテーションは力強くフライを水面すれすれでターンオーバーさせパシッと水面に叩きつけた。
イワナが頭を上げた。「出るぞ。」
次の瞬間水面がゆれた。私はロッドを立てた。穏やかな水面が割れはじけた。
「それみろ。」
ロッドが大きく弧を描いた。思ったより大きい。
岩にもぐられることのないよう一定のテンションを保持し自分も魚に近寄ってロッドでダイレクトに魚を誘導できる距離に近づきランデングした。
しかし、細い岩魚だ。
外敵からのプレッシャーでほとんどエサが取れないんじゃないか。
真夏の本谷岩魚の生活環境も厳しいのだと感じさせられた一匹であった。
