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ひと時、藪沢の釣りに凝った

真夏、水が少なくなった小さな沢、釣りはさらにやりづらくなる。
しかし私は知った。奴らはボサに守られボサの下に隠れ丸々と太っている事を。

フライのプレゼンテーションは特に正確さが要求される。
藪沢の釣りで、使いやすい藪沢用ロッドを、クリークの遠藤親父に頼んで作ってもらったもの。
竹製の6.9ft #3 名前はシケットクリーク。
ロッドは堅くなく、やわらか過ぎず。
魚の引き込みにバットから持っていかれないよう緩めのテーパーのスエルトバット。

私は、スエルトバットは格好だけでなく魚のファイトやランデング時に、ひじょうに有効なものだと思っている。
いろんなポイント、シチュエーションでこのロッドは活躍した。
藪の中で力の有り余っていたデブイワナどもを引き釣り出してきた。

でも3年前、じつはこれを藪でトップを引っ掛け折ってしまった。
いつか親父にトップセクションを作ってもらおうと思っているのだがいつも「まだそのうちでいいや。」
という感じになっている。
また、藪沢の釣りに夢中になれば直す事になろう。

一時期、藪での釣りは竹竿を折るのが嫌なので鷲のマークの黄色いグラスロッドを買って使った。
しかし、そのロッドのアクションはイマイチ好きになれなかった。
遠投能力に不満を感じた。
3回くらいの釣りがその黄色いロッドの使用の最後となり、それは押入れに入った。
かわりに押入れから一軍にカムバックしたのは、遠藤おやじに作ってもらった漆塗りロッド、6.6ft  #3だった。
もう一本更に短いのを、藪用に頼んで作ってもらったのを、押入れの中にぬくぬくさせていたのはシケットクリークを折ったからに他ならない。折るのが嫌だからだった。
しかし、ロッドは何のためにあるんだ。
ふと、想って目から鱗がポトリ。

そのロッドはやはり、わだかまりを感じる黄色いロッドに比べれば雲泥の差だった。
心底見直したロッドは、速い返りを持つファストアクションロッド。
藪の狭い空間でラインを繰るには、跳ね返りの遅いロッドでは、ラインベリーが下がるのが顕著、狭い空間にラインを通せない。
藪のロッドはファストアクションに限ると改めて認識した。
藪の岩魚はデブなのだった。
ちょうちん釣りのエサ釣り師から逃れ、藪に落ちる陸の昆虫を体側がでこぼこになるくらい腹に貯めているのだ。


「ふっふっふっ。」

デブ岩魚、そんなお前も、こんな藪も釣れる凄腕フライマンにはヤラレタと思い知っただろう。
こんなところにも毛鉤が落ちてくるとは思わなかったのだろう、仕方があるまい。
この次は気をつけるように。てなかんじで藪のやつらに思い知らせてやるのだった。

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